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生きてるだけで、愛。のBinchoisのレビュー・感想・評価

生きてるだけで、愛。(2018年製作の映画)
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『花束みたいな恋をした』のパラレルワールド?「もしも八谷絹が双極性障害だったら」。
『ほかげ』に引き続き、このポテンシャルあっての福来スズ子だということがよく分かる。趣里ちゃんのポテンシャルは身体表現の豊かさにある。額から血を流して街を爆走する彼女を愛さずにはいられない。
寧子の気持ちが分かるなどと軽々しく言ってはいけないんだろうけど、でも分かる。肥大する自意識に手をこまねいて、世界への違和感に折り合いがつけられず、突発的にパニックを起こすのは僕もだいたい同じだ。
本谷有希子のささくれ立った文体に比べると、映画のトーンはだいぶ抑制的だ。最後は世武裕子さんのしっとりした音楽で幕を閉じる。質感は良いが、カタルシスは薄め。
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