HAL

不安と共に生きるのHALのレビュー・感想・評価

不安と共に生きる(2017年製作の映画)
5.0
この映画で、どうか寄附が集まりますように。より研究が進みますように。ME(筋痛性脳脊髄炎)/CFS(慢性疲労症候群)にかかった監督が完成させたドキュメンタリー。ベッドの上からよくここまで…。とても社会的な意味が大きい映画だ。

ME/CFSの患者数が多いにも関わらず、なぜ研究がされないのかを多角的な視点と、徹底した調査で訴える。これはME/CFSだけの問題だけではなく、様々な難病に言えること…。

病気やその症状で苦しむ人々のことを、健康な人が「甘え」だと考えてしまうことの理不尽さを、改めて痛感した。

症状自体を信じないとか、怠けだとか考える人がいることが、私は信じられない。当事者でなければわからないなんて、それも大切な人のためにすら1ミリの想像力も働かせないなんて、それが甘えだよ。

私も5年前、部屋の中で歩くにも息が上がり、スーパーにも行けなくなり、数週間、寝たきりになったことがあった。病院をたらい回しにされ、その時に個人的に疑ったのがME/CFSだった。

私の場合は、この症状はMEでもなんでもなく、本当に心因性だったようで、投薬ですぐに回復した。万が一MEが心因性だったとしたら、(これを見た後では到底心因性とは思えないが)、それに見合った処方で回復するはず。もしも精神医学の分野であると主張するならば、その分野において30年間放置している罪は重い。デンマークはもうちょっと人権に関して進歩的だと思ってた…。

たった数週間の絶望感を今でも覚えている。起き上がれないのが甘えって、ほんと何だよ…嫌々仕事行ってた過去の自分さえ羨ましくなるんだよ…(怒りがしつこい)

因みにME/CFSは日本では殆ど研究されてない。

切なく印象に残るカットが多く、美術的にも成功してる(ように素人には見える)。単にセンスが良いのかもしれないけど、認知されるために、これも重要なことだったんだろう。

明日は我が身と、少しでも多くの人が思い、苦しむ隣人を理解できれば。不定愁訴に苦しむ自分を責めずに済めば。それだけでもこの作品が作られた意味がある。
HAL

HAL