ヤスマサ

逃亡者のヤスマサのレビュー・感想・評価

逃亡者(1990年製作の映画)
2.7
50年代の映画「必死の逃亡者」のマイケル・チミノ監督によるリメイク。
公判中に逃亡を図った凶悪犯が、郊外の一家を人質を取って立て篭もった顛末を描いたサスペンス。
凶悪犯マイケル・ポズワース(ミッキー・ローク)は、逃亡を幇助した恋人の担当弁護士ナンシーと落ち合うため、仲間と一緒に、売りに出ていた郊外の一軒家に押し入る。

単なる犯罪者を追った映画なのだろうか…。
頭脳明晰なはずのマイケルの行動には些か疑問がある。
彼の行動は、凡人には分からぬ何か意味のあるものだったのか、ナンシーとの逃避行を夢見て見境が無くなってしまったのか…、全て浅はかな犯罪者の逃亡劇にしか見えない。
マイケルの他人を意のままに出来ると傲っている内面性は窺えるものの、犯罪者の愚行に巻き込まれた家族を護るティム・コーネル(アンソニー・ホプキンス)との相対的な構図が強調される訳でもない。
原題は“DESPERATE HOURS” で、「絶望的な時間」「自暴自棄な時間」「必死な時間」といった意味になるが、追い込まれて行くマイケルの心理や内面性の描写は薄く、その姿だけが映し出されている。
もしかすると、マイケルは最後の最後まで自信家だったのかも知れない。
名匠マイケル・チミノによる作品だが、広大な自然の美しい映像の他は、特筆する所のないように思う。
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