石井監督の「ソレダケ」は、圧倒的で驚愕って印象があったが、本作もタイトルや役者から、「ソレダケ」の時代劇版では？と期待したのだが・・・。何とコメディではないか。昭和の名作や最近のSFな作品、室生犀星原作の作品など、この監督、振り幅が大きいわ。
原作は未読だけど、ストーリー的には単調さを感じた。だけど、クドカンの脚本がいいのか、個性的なと言うよりパンクな役者がいいのか、観てて飽きることはない。中でも、奔放感満載の染谷将太。スゴいわ。それと紅一点の北川景子。軍団を先頭で率いてのダンスは、この人ならではと。
音楽がいいし、ナレーションが渋い。こんなコメディタッチの時代劇映画って、ありそうでないし、上手いとこをついてる。あっ、ナレーションは聞けば誰かすぐわかるけど、後半に重要な役で出てくる。人間じゃなく猿で。
現代に置き換えての教条的なセリフはちょっと閉口したけど、ギャグも満載で嬉しい。「稲荷返し」には大いに笑った。
