けーすけ

カツベン!のけーすけのレビュー・感想・評価

カツベン!(2019年製作の映画)
3.5
大正期、映画がまだ無声無音で“活動写真”と呼ばれていた頃、上映中にその内容を解説する専任の解説者がおり、彼らは活動写真弁士(略して“活弁=かつべん”)と呼ばれていた。
幼少の頃より活弁になる事を夢見ていた俊太郎(成田凌)であったが、いつの間にか泥棒詐欺集団の一員と成り下がっていた。足を洗おうと集団から逃げ出し、たどり着いた先は「靑木館」という小さな映画館での雑用係。様々な曲者ばかりがいたり、ライバル映画館からの嫌がらせがある中、ひょんな事で披露した俊太郎の活弁が話題となり・・・










映画に音声、音楽が乗る前の時代に活動写真弁士という存在があった事は知ってはいたものの、どのような感じかは詳しく知らなかったので興味深い映画でもありました。とはいえ本作はドキュメンタリーではなくコメディ映画ではありますが。



ストーリーは俊太郎が悪党集団から足を洗う際に手に入れた大金と、それを追いかける悪党や、靑木館を潰そうとするライバル・タチバナ館の主による嫌がらせによるドタバタと単純明快。
ただ、上映時間が2時間強あるのですが、あれこれ詰め込んで全体的にゆったりしたテンポで進むので少し長く感じてしまったのがちょっと残念なところ。

しかしながら俊太郎が急遽代役として初めて活弁を務めたシーンが白眉でした。それまで雑用係で周りも「アイツができるわけないじゃん」からの~、というベタな盛り上げではあるのですが、演じた成田凌の本領発揮!この映画の一番好きな部分。

同じ映像でも活弁による語り口調や、解釈の変え方で全く違った印象になってしまうというのが面白く描かれておりました。このあたりは成田凌の凄みが出ており、しっかり勉強して相当な鍛錬を繰り返して演技に活かされてるんだろうな~、とヒシヒシ感じました。

また、幼少の頃の俊太郎と出会った栗原梅子という女の子もキーとなるヒロインなのですが、演じた黒島結菜が瑞々しさあって好印象でした。こちらも今後の活躍に期待。


そして、周防正行監督作品という事もあってか出演者が全体的に豪華…!個人的に山本耕史が大好きなのでもっと出てきてほしかったー!

劇中流れる無声映画(劇中劇)がオリジナル作もありつつ、本作の為に撮影されたとの事なのですが、そちらの出演にもシャーロット・ケイト・フォックスや上白石萌音に城田優、草刈民代といった面々が。全然気が付かなかった、、、。こちらも要注目です。




観終わって色々調べて、舞台挨拶の動画も見たけど、成田凌が恐ろしいほどに素晴らしかったです・・・!周りの皆さんが絶賛するのも納得。

成田凌、2分にわたる口上を披露!「こんなに緊張する舞台あいさつ、初めて」“「カツベン!」公開記念舞台あいさつ”
https://youtu.be/_7NLgRMuaf8


映画愛に溢れた本作、気負わず観られて楽しめる内容だと思います。



2021/01/15(金) TSUTAYA DISCAS定額レンタルにて鑑賞。
[2021-007]
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