カツベン！のぴんゆかのレビュー・感想・評価

たまには手放しで楽しめる映画を。
浅草キッドといい、最近かつての下町娯楽風情を垣間見れるような作品が多くて嬉しい。
なにより上映中、在りし日の活動写真小屋のように周囲の観客がどっと沸いたり、手を叩いたり、一緒に悲しんだりしていたのが本当に良かった。
演者と受け手の相互のコミュニケーションがあってこそ、本当は成り立っているんだということを身をもって体験したように思う。

俳優陣も錚々たる顔ぶれ。
とりあえずまず、
井上真央ちゃん久しぶり？！？！？！
おかえり？！？！？

主演の成田君は彼だからこそ出せる不完成感が、求められていた役とこの映画の小気味良さにしっかりはまっていた。
これが仮に脇を固めていた高良君だったら上手くても完全なイメージが先行してこうも愉快にはならなかったように思う。くれなずめも是非見たい。

竹野内大先生は安定のコミカル要員。近年こういう役が増えてかわいいポジみたいになってるけど年取らないんですか？
そこに竹中直人やら小日向さん、からの渡辺えりが入ってきて五月蝿さ全開、濃度限界でも空中分解していなかったのは凄いの一言。

強いて言うなら途中で長いな、、と感じたので
中盤失速感があったかもしれない。
とはいえ邦画にありがちなベタベタの恋愛で尺を伸ばしたり、全てをチープなドラマに終結させるのではなく、あくまで"噺"に魅せられた人々という体裁をとっているのは最後まで好感しかなかった。また見たい。