ひろぽん

カツベン!のひろぽんのレビュー・感想・評価

カツベン!(2019年製作の映画)
3.7
白黒で映画に音がなかった大正時代、映画に喋りを乗せて観客を沸かせた活動弁士という職業にスポットをあて、本物の活動弁士を目指す青年の青春と恋模様、泥棒や警察をも巻き込む大騒動を描いた物語。


子どもの頃、活動写真小屋で観たカツベン (活動弁士)に憧れ、自分もカツベンになることを夢見て成長した青年・染谷俊太郎。見よう見まねで技術を身につけ活動弁士になる俊太郎だが、誤って窃盗団に加入してしまい片棒を担がされる羽目に。警察に追われ逃走した彼は、ある芝居小屋に辿り着き雇ってもらうが、そこで想像を絶する個性的な曲者たちに囲まれ様々なトラブルが彼に襲い掛かっていくお話。

映画がまだ「活動写真」と言われていた100年前の大正時代を舞台に、繰り広げられるドタバタコメディが面白い。この時代の雰囲気も味わい深いものがあって好きだな〜。

“活動弁士”という無声映画に台詞や解説などを入れる職業があった事は知らなかったのでとても勉強になった。日本映画の初期を支えた人達なんだね。

調べたら今も活動弁士として日本で活躍している人がいるというのだからびっくり!そして、この活動弁士は日本独自に発展した文化というのも面白い。

キャスト陣は豪華で1人1人の個性が強く、みんな演技が上手すぎた。

その中でも、成田凌の活動弁士としての喋りが巧みで、相当練習したのだろうなと感じた。傲慢でキザな高良健吾の悪そうな雰囲気も良き。

同じ映像でも声を担当する活動弁士がどう表現するかによって、喜劇にも悲劇にも変化するのだから見応えがある。

終盤で継ぎ接ぎした関連性の無い映像フィルムを即興で笑いに変えてしまうのだから、活動弁士のトーク力は半端ない。

作品として、“活動弁士”という職業に着目した点は非常に良かったと思う。ただ、コメディとシリアスな展開が入り混じり、ずっとドタバタしすぎていたので観終わった後に疲れがドっときた。

そして、俊太郎と松子の恋物語の続きが気になる。刑務所でも人気になる活動弁士は最高すぎや!

こんなに流暢に面白く話せるトーク力を身につけたい。
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