三隅炎雄

そして、神はカインに語ったの三隅炎雄のネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

『幽霊屋敷の邪淫』『顔のない殺人鬼』の監督アントニオ・マルゲリーティがクラウス・キンスキー主演で撮った怪奇幻想タッチの異色マカロニ・ウェスタン。死者が復讐鬼となって街に帰ってくる話だから、イーストウッド『荒野のストレンジャー』より3年くらい早い。
ちょっと分かりにくいのだが、冒頭囚人キンスキーは作業中に蛇に噛まれて死亡、恩赦云々の話は死ぬ間際の幻覚、それ以降が亡霊による復讐の旅ということであろう。重苦しく濃厚な怪奇ムードで延々と描かれていく嵐の夜の復讐劇が素晴らしく、ただただ息を呑む。
復讐は現実にはなされておらず、蛇の毒で死にゆく囚人の幻覚という解釈もあるかもしれない。

この前年にアンソニー・ステファン原案・脚本・主演で似たような幽霊ガンマン物『ジャンゴ・ザ・バスタード』がある。これもなかなか楽しい映画だが、イーストウッドやドーソンの曖昧さはなく、割合はっきりした幽霊であった。
三隅炎雄

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