YAEPIN

来るのYAEPINのレビュー・感想・評価

来る(2018年製作の映画)
3.6
挿入歌にCigarettes after Sexの"K"が使われていたのが、本作一番の衝撃で意味不明だった。
中島哲也監督の外し演出のひとつなのだろうか。

構成としては、何が「来る」のか、実体としてはほとんど提示されず、正体も明かされないのがよかった。

ストーリーはイクメン「風」の妻夫木聡とその妻である黒木華、そして霊障に詳しいライター役の岡田准一、3人の視点から語られる。
それぞれが家庭、家庭を持つことが絶対的善であるとされている社会、元恋人の堕胎などに、誰にも言えない憂さを抱えている。
人々の鬱屈とした恨みや解消できないトラウマなどが「それ」を呼び寄せるのかもしれない。

そんな作品だからこそ、霊障そのものよりも、社会的地獄シーンの方が恐怖を覚えた。陰口を叩かれながら開かれる結婚式や泣き叫ぶ子供をほったらかして子育てブログを書く夫、身重の上体で開くホームパーティーなど、自分もいつか出くわすかもしれないしんどい社会の連続で、何故か目が離せない。

青、緑、といってもネオンカラーでビカビカした色彩が画面を作り、怖さはあまりないがサイケデリックな気味悪さが演出されていた。
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