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来るのdiotheworld21のレビュー・感想・評価

来る(2018年製作の映画)
4.5
究極のお祓いエンターテインメント!めちゃくちゃ面白かった。興奮した。やっぱり中島哲也監督って凄い。

いろいろと評価がわかれてるようですが、まずちゃんとホラーです。そして、めちゃめちゃエンタメショーでもあります。
そのふたつが混在することで混乱してしまう人がいると思いますが、酷評してる人はそういうことでしょう。

そう、確かにホラーとエンタメショーは食い合わせ悪そうですし、本来はなかなかマッチしにくいものだと思います。

ただ、この作品はちゃんとどちらも感じられます。だって、怖かったり不気味だったりするところは少しはあるでしょう?少しでもあればそれはもう、ホラーです。
そしてホラー的に難しいと感じるのは、敵というか化物的な「何か」の正体をビジュアルで見せていないから、それはやはり例えば「貞子」のようなわかりやすいものがないぶん、観る側の想像力にある程度委ねる部分が大きいということ。
なのでホラーじゃないって断言する人たちは、そもそもホラーに視覚的恐怖を求めてる人たちなのではないかと思います。この作品はそうじゃないってだけで。どちらかというと不気味さの方が強いです。

で、終盤のお祓いシーン。
日本中からあらゆる霊能力者たちが集います。宗派とか何もかも関係なく、お祓いができる人たちがとにかく集まります。が、これがわかりやすく言うと、アベンジャーズ的なドキドキ感があるんですよね。めちゃくちゃ強大な敵を倒すため、宗教の垣根を越えて一堂に会すという。だからきちんと彼らが集まることがすごく特別な感じっていうのをわかるように見せてるし、お祓いをするっていうことを何分も使ってちゃんと見せられるものにしてる。お祓い自体をものすごくエンターテインメントにしてしまってるのが何とも新しいなと。かっこよさすら感じる。
あと、敵がめちゃくちゃ強大、というところもポイントだと思います。
やっぱり敵は強ければ強い程観てる側はハラハラするし、本当に勝てるの?って手に汗握るし、マゾ的だけどとても楽しめる要素です。

そして、映像と音楽。ホラーとは思えない程美しいし、ホラーでは普通は邪魔になりそうな洒落感もうまくコントロールしています。そこはさすが中島監督で、美しすぎるが故に没入してしまいます。人間の美に対する心理を効果的に使っているのではないでしょうか。

また、キャスト陣も素晴らしいです。黒木華の演技は本当に良かった。ゾッとした。そして松たか子ね。安定してやっぱり上手。

とにかく、めちゃくちゃ最高で新しいホラーショーです。観て面白くないって思う人や好きじゃないって感じる人とは友達になれないでしょう、多分。
そう言い切ってもいいくらい個人的にはとても良い作品だと思いました。
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