Kitty

来るのKittyのネタバレレビュー・内容・結末

来る(2018年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

Jホラーというよりは海外ホラーに近い印象。「エクソシスト」を現代日本に置き換えたら…というようなストーリー。ホラーとしては10点評価の2点くらい。ホラー演出もあるヒューマンドラマってのが正解かも…。
人間関係や家庭に乗り越えるべき大きな障害を抱えている人たちが織り成すドロッドロのヒューマンドラマ。障害を乗り越えたり乗り越えたと思ったら殺される、そんなホラードラマを俳優陣の確かな演技で魅せつつ、松たか子演じる浮世離れした霊能力者が登場しクライマックスに突入すると、日本の無宗教さと科学とオカルトと現代と文化がごちゃ混ぜになった除霊エンターテイメントに変貌する。
クライマックスの仏教神道なんでもござれな除霊シーンに登場する霊能力者たちが本当に全員カッコいい。新幹線で別れるオジサンも観光気分のオバサンも、神楽の女子高生たちもあのワンシーンでキャラ立ちしすぎてる。準備シーンで圧倒的な余裕を感じさせつつ、いよいよ除霊が始まると緊張感が伝わってくる対比。胃が痛むような人間ドラマと大量出血ホラーから解放されて一気に弛緩する一瞬から緊張と弛緩を伴い徐々に絶望感が増していく。ケレン味あふれるとても気持ちのいいクライマックス。絶望的な状況に不安を感じさせつつ「この人なら…!」感を絶やさないとてつもない安定感を誇る琴子さん。落ち着けパンチは最高。
妻夫木さん、黒木さん、岡田さんを中心にしたドラマもそれぞれが目的に向かって行動をしていたように思えた。妻夫木さん、黒木さんのドラマは目的を達成できる希望が見えたところで殺られるので無情さがパない。が、それも役者が的確に行動できていたから感じた感覚であると思うので、やはり見事。終盤のドラマも素晴らしく、大きな障害を乗り越えたラストシーンの清々しさはとても良かった。除霊現場は死屍累々だったけれど。
中島監督らしい現実から逸脱したような画に俳優の確かな演技が組み合わさり、説得力と違和感を併せ持った気持ち悪く不気味だが人間味を感じる作品。アニメとは違う方向にデフォルメされた作品のように感じた。
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