うにたべたい

来るのうにたべたいのレビュー・感想・評価

来る(2018年製作の映画)
4.0
原作は澤村伊智の「比嘉姉妹シリーズ」1作目「ぼぎわんが、来る」。
タイトルから、"クローバーフィールド"とか"大怪獣東京に現る"みたいな作品を想像していましたが、全然違いました。
"未知の迫りくる何かの恐怖"に怯える様が描かれた作品ですが、怪獣のような巨大な存在ではなく、その存在は"妖怪"が言い表すに近しい存在です。

ストーリーは大まかに3つに分割できます。
田原秀樹は、香奈と結婚し、一人娘の知紗が生まれます。
完璧なイクメンパパを目指し、幸せな日々を育児ブログにしたためる彼の行動は、実際は家庭を蔑ろにし、妻に暴言を吐く酷いものでした。
そんなある日、秀樹が帰宅すると家の中が滅茶苦茶になっていて、大泣きする娘と怯える妻の姿があった。
幼い頃、ある少女から"それ"が連れされにくると言われていた秀樹は、とうとうそいつが"来た"と恐怖に脅え、大学で民俗学の助教授をしている友人の野崎に相談する。
最初の語り手は田原秀樹、ある事件を境に、語り手が妻の田原香奈にバトンタッチします。
最後、主人公はオカルトライターの野崎に代わり、終着する形になります。

原題より"ぼぎわん"が無くなり、タイトルは"来る"のみになっています。
"ぼぎわん"という名前は映画の作中では出てこず、"ぼぎわん"の名前の元となった妖怪も出てこないですが、本作は別の妖怪として"元興寺(がんごう)"が登場します。
本作で"来る"ものの招待は明かされないままストーリーが進むのですが、序盤にこの"がんごう"の解説をはさむ辺り、京極堂のような感じがしました。
「妖怪とは概念」ですね。

結構普通にホラー映画でした。ただ、怖さはほぼ無いです。
とにかく血がたくさん出て、結構な人が恐怖の中で命を落としますが、怖かったかというと、先日見た"血を吸うシリーズ"の方が、恐怖度は上だと思います。
後半はホラーなのかギャグなのか分からないシーンもあります。
ただ、エンターテインメント性は高く、終始、飽きなくて楽しい作品でした。
思ってたような内容とは違いましたが、見て良かったと思います。