桃色

あの日のオルガンの桃色のレビュー・感想・評価

あの日のオルガン(2019年製作の映画)
3.8
第二次世界大戦。
当時、日本では「太平洋戦争」と呼ばれていた時代に生きた女性たちはいったいどんな思いだったんだろう。
親たちから預かった未就学児童を連れて戦火から命を守ったのはみんなまだ未婚の若き女性たちだったね。

「赤紙」がきたらもう強制的に出兵。
命が散るかもしれない戦争に万歳三唱で送り出すの?
母だったら愛しい息子をどんな気持ちで見送ったんだろう?
NHKの朝ドラの「エール」でもお国のためは母のためとハーモニカ少年が15歳くらいで志願して行ったね。
予科練を卒業した若者の80%以上が戦死したと言われてるから悲しい結末を恐れてたけど…

いつもお腹がペコペコで休日もなく子供達の世話。
母の代わりもしないといけない。
親を恋しがってオネショを繰り返す子供達に手を焼き、
大根しか分けてもらえない地元と一生懸命に馴染もうとしても意地悪な噂も立てられる。
そういう辛い青春しかない彼女達が、それでも明るくお互いを助け合う姿は本当に素敵だった。

3月10日の東京大空襲で失われた命は10万という。
現代も爆撃機の音に眠れぬ夜を過ごしている人たちがいる。
人生長生きしてもたかだか100年。
「死」は必ず誰にでも訪れる公平なものなのに、奪い合うことまでしなくてもいいはず。

最後、戸田恵梨香ちゃんが演じるベテラン保育士の楓先生の号泣…
堰が切れた思いは達成とは違う喪失感かな。
一人一人の子供たちとこんな時代に生まれたことをくやしく思ったに違いない。
そして精一杯なことをしても楽しい思い出にはならない悔しさだったのかもしれない。

大原櫻子ちゃん。
「犬部!」でも紅一点だった。
最初「カノジョは嘘を愛しすぎてる」で佐藤健さんと共演した役は高校生。
今回はまだまだ駆け出しのおっちょこちょいな保育士さん。
歌がとても上手かったはず。
その期待通りにオルガンに合わせて懐かしい文部省歌をいくつも歌ってくれた。
戦争孤児になったけんちゃんにその真実を話すシーンだけは、けんちゃんのためにちょっとセリフを変えてあげたかったな…辛かったかから。

ロボット映画で「男のロマン」の話をしたけど、対極のように女性が生まれながらに持ってる「母性」というもの。
女の子たちに偉かったね、頑張ったねと声をかけてあげたいけど、もうこれしかできる術がなかった現実に胸が苦しくなる。
「戦争反対」
どんな理由があっても
「戦争反対」

実際、戦後の国の調査では戦争孤児は12万人。
子供たち、みんなこの後どう生きたのだろうか。
つい数日前から「第三次世界大戦」という恐ろしい言葉がウクライナの首相から聞こえてきたね。
スイッチ1つで終わる世界。いまや他人事ではなくなってきたように感じるのは私だけ?

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毎年訪れるこの春に平和を考えるきっかけになりました。
一緒に観てくれた
あやちゃん
booちゃん
ゆきちゃん
ちぃちゃん
黒ね子ちゃん
文子ちゃん
こうして集えて幸せだわ♡
桃色

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