すぎ

半世界のすぎのネタバレレビュー・内容・結末

半世界(2018年製作の映画)
2.8

このレビューはネタバレを含みます

人間味を感じる作品だった。
この作品を鑑賞する中で感じた「人間味」は主に3つに分解できる。
1.人間の愚かさ
2.反抗期の感情
3.論理よりも感情優先

以下、それぞれについて少し述べる。
1,多種存在していると思うが、本作品ベースで考えると「失ってから初めて気づき、学ぶ こと」だと考えている。それは事後的な事象であり、発生した事柄から学びを得るため、 その結果を変えることはできない。例えば本作品においては「息子が万引きをしたという 事実(結果)を以っていじめを感知(学び)し、知人と会食するよう促したり自分も興味関心 を持とうと努力する(対策)」があった。これが典型例である。万引きをしたという結果を 知人との会食・興味関心を抱くという対策で覆すことはできない。ここに人間の事後的な 愚かさが現れている。

2,内容もそうだが、描写の仕方によってきっちりと表現されており、感じることができ た。反抗期とは、ただ親や先生など目上の人からの意見(押しつけ)に対して反発すると いうだけではないと考える。なぜ反発しているのか、という本質を捉える必要がある。す なわち、「ただの反発」ではなく「人間として認めてほしい」「構われることによって自分 がただ一人の人間である」という承認欲求的側面を有しているのだ。この本質を理解し映 像作品として昇華していた点から、鑑賞者である私が「人間味」を感じることができた。

3,いわゆる人間の一般的な行動原理でもある。人間は筋の通ったことよりも感情論、言い 換えると「自分の心を動かす」ものに弱い。『半世界』においてはホテルの支配人に対し て主人公の妻が恋の感情を引き合いに説得していた場面も人間味について表現されていて とても興味深かった。

この3つの描写は120分という限られた時間の中でしっかりと感じ取れた。
だが、主人公以外の人間についてもスポットライトを当てる場面があったのにも関わらず、その人物に対しての詳細な情報が提供されなかったためこの評価にした。
(無論ここまで盛り込むのであれば上映時間が180分ほどになってしまいそうだが…)
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