かえるま

ザ・リチュアル いけにえの儀式のかえるまのレビュー・感想・評価

3.5
前半はブレアウィッチのような不気味さを押し出したホラー、後半はモンスターパニックで、短いながら満腹感を感じる良作。
ちょっとフックが弱いというか、何となく目立たない作品だが、ホラー好きなら楽しめる。

主人公は親友の1人を目の前で失い、助けられなかった過去がトラウマになっている男性。
仲間4人でハイキングに出かけたスウェーデンの森で「何か」に遭遇。

静かで美しい針葉樹の森と対比される不気味さがとても印象的。
また「何か」が見せる幻覚の視覚的な美しさも怖さを際立たせていた。
そして「何か」の造形は素晴らしい。神々しさと不気味さが同居している。

以下、ネタバレ。




流れ的には、主人公がトラウマを乗り越えて親友を救って和解して…となりそうだが、そうはならない。
親友4人をすべて目の前で助けられもせずに失い、更に罪の意識を持たされただけ。

終盤では、カルトチックな村人に一員になるよう誘われるもこれを拒否。「神」に赦しを乞うことはせず、斧で一撃することで決別した。
最後逃げ切った主人公が咆哮を上げるシーンは、迫真の演技もあって見応えがあった。

彼は罪の意識を忘れて永遠の生命を得るのではなく、胸の傷を抱えたまま現実に生きることを選んだわけだ。
草原を歩く主人公を写してエンディング。
満足しました。
かえるま

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