horahuki

ゴーストマスク -傷-のhorahukiのレビュー・感想・評価

ゴーストマスク -傷-(2018年製作の映画)
3.2
あたしキ・レ・イ…?

「美しさ」って何??整形したって結局心の傷は治らへんやんけ!!ってな感じの変化球な口裂け女系美容整形ホラー。

多分ホラーだろうと思って何の情報もなく見に行った作品だったのですが、一向にそれっぽい雰囲気にならないから「ミスったかな…」と思ってたら後半いきなりぶっ飛んで安心しましたわ。

前半は行方不明になった姉を探しに韓国にやって来た妹(主人公)が、現地の美人で金持ちな整形外科医と仲良くなってく話で、小出しにされるバラバラだった情報が少しずつ繋がり出すって感じの百合系な普通のミステリなのかと思わせつつ、そこら辺は早い段階で決着つけて、それなりのボディカウントを叩き出す血みどろグロりんちょなスプラッターに大変身しちゃう落差がナイスでした。

清廉ではあるんだけど、お互いに偽物だからこそな空虚さをも表すような真っ白な部屋とそこから見える都会の風景。その白に飛び散る真っ赤な血は、清廉とはかけ離れた生身の強烈な「人間らしさ」が決壊し湧き出してきたように、それまで心を支配していた白の空虚さを染め直していく。

でもそれは結局は空虚さの上塗りにしかならず、決して癒えることなく偽り誤魔化し続けた心の傷も一緒に溢れ出し、傷だらけでズタズタな心が身体と同化してしまうという「心による外見の整形」へと発展することで、傷を隠すための美容整形との逆転が「あるべき姿」的に示されるのが辛い。。。

そんな感じで上品な雰囲気で展開していくんだけど、急転直下するようなクライマックスの阿鼻叫喚な地獄絵図的大暴れがぶっ壊れてて楽しいし、俯瞰で惨劇を捉えるカメラと落ちていく雨粒が帳尻合わせ的に本作の上品さを保っていて、曝け出す本質としてのグロテスクを綺麗に調和させていて、覆い隠すのではなく調和こそが人間なんだっていう製作陣の意図を感じたのが良かったです。

それぞれが重要ではあるんだけどバラバラに切り取られた情報を無作為に羅列する冒頭は、ミステリ展開を考えると結びついていくことにそれなりの役割を果たしているのかもだし、作風を意識づける上でも重要だったんかもだけど、本作の方向性的にその部分に力を入れる必要がそれほど見出せず、どうしても鈍重に感じてしまいました。
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