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ここは退屈迎えに来てのsingthingのネタバレレビュー・内容・結末

ここは退屈迎えに来て(2018年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

APITA、文苑堂、北陸銀行!
地元で見慣れた、国道の風景がいちいちぶっ刺さる。
どこかへ行こうとするなら必ず通る道の、どこまでも似たようなチェーン店とショッピングセンターが並ぶ風景が、地元特有の「行けなさ」「退屈」と共鳴して。

自分の根っこの風景。あそこは重力が強いんだ。狙い撃ちなんてされず、全体を下げるような、悪意のない快適さと良心で包まれて、ゆっくり周りごとしみこませて落ち着かせてしまうよう。それが苦手で息苦しかった。見ながら、そのことをまだうまく整理できていない自分に気づいて、もう一度苦しくなる。怖さと懐かしさ、後ろめたさ、ここではないどこかでなにかになる、みたいな雑な憧れを描くので精一杯で、そこから遠い場所を想像するだけの無力さと幼さ。

田んぼの中を自転車で走るのが現代の青春のシーンとして描かれてるのすてきだ。

ゆうこちゃん、バイクで走ってるときのミラーの反射が女性の胸みたいに見えた。

ラブホから走って出て、誰かー!誰でもいいんだけどー!!と叫んだあと通りがかるロシア人の間も最高。「ナゼ クルマ ナイ」の一言、カタコトだからこそより効いてきてしまう。そのあと「茜色の夕日」を一人でうたう長回しの良さ。

うたは、ひとりでうたうときにとくべつな響きになる。うたはたったひとりぼっちのひとから出てくるしらべ。手渡すんじゃないほうの「渡し/わたし」で、ふるえるもの。

どこかの誰かのひとりにとって、それぞれうたがあって本当によかったって思う。

母校の運動場で、頑張れー!って言ってるシーン好きだったな。
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