シネマスナイパーF

ヘレディタリー/継承のシネマスナイパーFのレビュー・感想・評価

ヘレディタリー/継承(2018年製作の映画)
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僕たち人間の持つ「恐怖」の概念を今一度原点に返した作品
食卓での怒ったトニ・コレット母さんのツラが一番怖いわ
役者の顔が映画を作ると言っても過言ではないよ
その点チャーリー役のミリー・シャピロさんは完璧


クライマックスで若干わけわかんなくなってるけど、ミニチュア挟んで割と露骨な「どこででも起こりうるみんなの話」としてまとめてある
結局家族愛で話を片付けるアメリカ映画をある意味逆手にとった怖さ

一回観ただけでは完全には拾いきれないであろう見事な伏線の数々はパンフレット購入必須の情報量
所謂性格上の障害が悪魔的なものであると捉えられてしまう概念としてのオカルトというものを考えさせられもした
現実的なものにあまりに近すぎる恐怖が続くゆえにオカルト部分が浮きすぎていると感じてしまったことは僕のホラー映画リテラシーが低いからだと思いたい

この映画の怖さは、パニック映画に代表される即物的な怖さではないところにこそ存在していて、僕たちからなかなか離れてくれない
そう感じるのも、全人類が無条件に背負う家族というものが持ってしまう怖さが描かれているからで、外側からのジャンル分けがホラーでも本質が家族の話であるこの作品の大きな魅力
今まで全く扱われてこなかったものではないし、見せられるものも全てがフレッシュだというわけではないけど、普遍的に扱われてきたものをこれ以上ないぐらい完璧に突きつけてくる怖さがある


魂は、死なない。
ホラー克服したい