Jun潤

サタデー・フィクションのJun潤のレビュー・感想・評価

サタデー・フィクション(2019年製作の映画)
3.8
2023.12.01

中国映画にオダギリジョーと中島歩が出演するということで。

1941年、上海。
日本軍が駐在していながら、南京と長慶それぞれの政府だけでなく、イギリスやフランスも手出しし難い膠着状態に陥り、“孤島”と化していた。
スター女優のユー・ジンは、新しい舞台に出演するために上海へ訪れる。
しかしその目的は、元夫で日本軍に捕らえられた商人のニイを助けるためだと、世間では噂が立っていた。
彼女が出演する舞台の演出家タン・ナーは、かつての関係を思い出し、2人で逢瀬を重ねる。
しかし彼女の周囲には、南京、長慶、フランス、そして日本の諜報部員が忍び寄っていた。
太平洋戦争が7日後に迫る中、それぞれの思惑が上海で交錯するー。

これはまた新たなスパイ・アクションものでしたね。
「マジック・ミラー計画」と聞くと、男の子なもので大体の概要はわかるのですが、緊迫する国同士の思惑や、軍人としての使命すらも超えてくる哀しき愛情、それらを容易く利用し自身の愛欲を満たそうとする強かな女性の姿が描かれていました。
そしてその顛末というのも、序盤から稽古シーンとして描かれてきた舞台「サタデー・フィクション」の中に詰め込まれていたというのがまた作品として良かったです。

それにモノクロというだけでなく、今作は監督の肝煎りでSEやBGMといった映画音楽を徹底的に排していたとのこと。
人物同士のやり取りは台詞で補完されるしどこまで違いが出るのかと思いましたが、銃撃シーンで魅力がダダ漏れになっていましたね。
他の作品だと、発砲音だけでなく銃弾が当たった時の音もSEで迫力を出したり、BGMでドラマティックにもスピーディにもできるところを、今作にそれがないだけでより現実に近い、そもそも銃撃戦は現実ではなく作品の中でしか見たことがないので、逆に自分の価値観からかけ離れているようにも感じました。
Jun潤

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