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サタデー・フィクションのotaのレビュー・感想・評価

サタデー・フィクション(2019年製作の映画)
4.3
太平洋戦争直前の魔都上海における日中欧の諜報部員たちの暗躍を描いたスパイ映画。めちゃめちゃ面白かった。

劇中劇が物語の随所に挟み込まれ、その上に諜報部員の不安定な帰属意識や、上海租界の寄る辺のなさ、複雑な社会情勢などが入り混じり何が虚で何が実なのか境目が段々と曖昧になってくる。何が演技で何が現実なのか、何が正解なのか、全てが不確かな状態の中で主人公がある二人の男性に対してとった選択と貫こうとしたものに、アイデンティティを超越した人間の本質のようなものが垣間見えた気がして何だかじんと来るものがあった。

モノクロの映像と雨の上海の相性が最高。銃撃戦の光の演出もかっこいい。コン・リーが美しいのは当然としてオダギリジョーのボディーガード役の人がクッッソ男前でびっくりした。
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