囚人13号

四人の息子の囚人13号のレビュー・感想・評価

四人の息子(1928年製作の映画)
5.0
泣いた。『三悪人』こそフォードサイレントの最高作と信じていたが迂闊だった。母性の尊さ、母を呼ぶ声が響く戦地のグリフィス的な再会から涙が止まらん。招集されていく息子を遠くで見送っていた母は郵便配達員ほか魅力的な町民に助けられながら英語テストをくぐり抜け、後半は見送られる側へ。
終盤に息子らしき声を聞いて右端からフレームインしてくる母(彼女が姿を現すとき画面にはもう誰もいない)のショット、親子で食卓を囲む様の悲劇的な反復を経て、彼女を囲む息子たちの姿は最後に一家族へ置き換えられる。

取り残される女性へ、フォード映画においては最上級の功績を残した者にしか与えられない、パイプを咥えることを許された者と同じくらい貴重な、揺り椅子に腰掛ける母の姿は涙で滲んでしまった。
囚人13号

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