ツクヨミ

5時から7時までのクレオのツクヨミのレビュー・感想・評価

5時から7時までのクレオ(1961年製作の映画)
3.9
狂乱の人間量と勢い.それを縦横無尽のカメラワークで見せるヴァルダ味のスパイス。
アニエス・ヴァルダ監督作品。前作"ラポワントクールト"から5年ほど経って作られたヴァルダの2作目、ヌーヴェルヴァーグの母たるヴァルダが2作目でどう飛躍したのか気になって見てみた。
まずオープニング、カラーでタロット占いをしてもらう女性を手元だけで見せていくオシャレさ。固定ショットがたくさんモンタージュしタイトルバックとスタッフロールも挟まれてゆく、この時点でやけにオシャレなビジュアルに魅了された。
しかしそんなオープニングから一転し次のシークエンスではモノクロへ変化。主人公クレオが不安をひけらかしそうなんだが、やけに楽しそうに動いていく様を見守る、というか勢いと出てくる人の量とやかましさがフェリーニかよって言いたくなる物量で笑った。あれよあれよと言うまもなくクレオとたくさんの人混みに流されていくヘンテコさ。あとスコセッシの"アフターアワーズ"みたいな流れも感じたなー。
そしてヴァルダといえばの自由なカメラワークが今作でも爆発、上から撮ったり固定かと思ったらどこにいくんだと言ってしまいそうになるカメラワークに振り回されるぐらい。ショットの数もさることながら多様すぎるカメラワークが楽しすぎてもはやそれを眺めるだけでも幸せになる素晴らしさに溢れていた。
あとストーリー的には正直どうでもいいぐらいで、癌の告知に不安な主人公クレオが待ちきれずにパリの街を彷徨い歩くみたいなもんなんで割と気にしなくていいぐらい。それと劇中のサイレント映画にゴダールとアンナカリーナが出てて可愛すぎる笑。いやしかし縦横無尽なカメラワークだし物量の暴力な人々の会話がフェリーニだし、やっぱりめちゃくちゃな自由さがヌーヴェルヴァーグ潮流を感じさせる一本ですな。個人的ヴァルダの中でもシンプルに映像を楽しめる作品ですげー満足もできた。
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