けーはち

5時から7時までのクレオのけーはちのレビュー・感想・評価

5時から7時までのクレオ(1961年製作の映画)
3.4
癌の検査結果を医師に聞く約束の時間までブラブラする女性シンガーを描く。占いに行って一旦帰ってスタッフと話して軽く歌ったり、友人と会って無声映画をチラッと見たり、公園で見知らぬ兵士にナンパされたり、やはりフランス映画の特にヌーヴェル・ヴァーグらしく意味があるようでないような会話の中、ダラダラと管を巻きながら時間を潰す展開にはドラマ性が希薄で、取っ掛かりのなさに若干の眠気を覚えるものの、結局「病人が病気の重さをどう悩み苦しんでも杞憂なので前向きに行こうぜ」と気付くまでの2時間の遠回りな迷走に過ぎず大筋は単純明解。各章題に「◯時◯分から◯時◯分の◯◯(登場人物名)」という表示が付き、誰を主軸に観るべきかも明解で有り難い。下手に有名人だと私利私欲で近づいて来る輩が多く人間不信感が募って後ろ向きになるので、そうでない人付き合いをするのは大事でその中で気持ちが落ち着いていく、という実存性のある人生訓。ミシェル・ルグランの音楽も良い。