ゴト

洗骨のゴトのレビュー・感想・評価

洗骨(2018年製作の映画)
3.7
序盤は登場人物が脚本に動かされてる感があり少し違和感を感じるが、話が進むにつれてそれもなくなっていく。上手く話を盛り上げてくれたということだと思う。あとはカメラワーク、音響、そして大島さんの演技がしっかりとカバーしているのも大きい。

一番気になったのは、奥田英二のしょぼくれっぷり。四日後ならいざ知らず四年も経ってるのにいつまでしょぼくれとんねん。四年経ってあれはちょっと無理ある気が。表面的には立ち直ったかのように見せて実はそうじゃなかった的な見せ方でも良かったのではと思うけど、そうすると今度は兄貴との対立が弱くなりそう。難しいね。

ただそうは言っても、見せ場でもある洗骨のシーンは圧巻。多分、文献で調べたか島の古老に聞いたかしたんだろうね。とてもリアルで荘厳でした。大島さんの口ずさむウチナーグチの歌もとても雰囲気が出ていた。あの人普通にすごい女優さんですね。死と生を繋がりのように描くのも良かった。

映画の内容とは直接関係ないけど、三線弾くシーンが無かったのが、ちょっと残念かな。知名定男とか出てくれなかったのかな。偉大なるてるりんさんの孫が監督やってんだから、誰かしら出てくるのを期待してたんだけど。古謝美佐子は出てたけど、使いどころよ。単なる意地悪なおばちゃんやんw

そして、名古屋の美容院の店長役のQ太郎が見た目一番沖縄人という事実w

ちなみに洗骨を行う理由についてだけど、一般的には汚れたままだと故人の魂が神仏の前に行かれないからだとされている。けどまあ、これは故人の魂の話で、残された側にもまた別の理由があるように思われる。

前提として元来死を穢れとする考えがあるわけだけど、粟国島の場合、映画の中で水崎綾女が言っていたことが事実だとするならば、島の東西で生者の世界と死者の世界に分かれていることになる。

つまり、風葬を行う場所は島の西と予め決まっていて、そこにしか遺体を置いておけないということになる。もし沢山のご遺体が穢れを持ったまま並び続ければ、西側はアンタッチャブルな世界になってしまう。それを防ぐためにも遺骨を洗い清める必要があったのだと思う。もちろん、親兄弟が野晒しのままはしのびないという気持ちもあったと思うけどね。

お祖父さんも沖縄の文化に精通していたけど、こういう路線で行くのかな。もう何本か撮って欲しいと思う作品。
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