泡沫

パッドマン 5億人の女性を救った男の泡沫のレビュー・感想・評価

4.0
毎月毎月家の隅に追いやられ汚れた布を処理に使っている妻の姿に心を痛めて、高価な市販品に変わるナプキンを作ろうと奮闘する男の姿は滑稽にも見えるし崇高でもある。インド映画ならではといったかんじの愛すべき善人ラクシュミの愛情はなかなか妻に伝わらず辛いけど、彼を理解しない女性たちの気持ちもよくわかる。どこの国でもみんな、自分の身体の健やかな働きを何千年もかけてタブーであると思わされてきた…。それにしても「娘が年頃になった」ことはお祝いするのになぜ穢れ扱いなんだろうか、日本もそうだけどずいぶん矛盾しているよなあ。
で、映画のテーマとしては妻への愛なのかな?と思ってみているとだんだん雲行きが怪しくなっていくのだが、こっちがそれもありかと思ったところでまた妻の元へ帰るというままならなさもあるストーリー。でも学のない田舎の変わり者という主人公は私好みだよ。またラクシュミの妻に対するいつも変わらないふるまいはとても印象的で、愛情や努力を妻に拒絶されても腹を立てたりせず、彼女の意思を尊重しつつ慮っている。月経というのはその人のライフスタイルや考え方、アイデンティティ、年齢などによってさまざまな苦悩をもたらしうるものだなー…と最近つくづく考えるのだがというか実感してるのだが、パートナーがこうして寄り添ってくれるというのはそれなりに心強いことだろうなと思った。
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