三四郎

黒衣の処女の三四郎のレビュー・感想・評価

黒衣の処女(1933年製作の映画)
4.0
『制服の処女』のあの清らかな二人が…。
ドロテア・ヴィークの演技力に唸るしかない。端正な顔立ちの超美人なのだが、ただの綺麗な綺麗な美人女優でないことをその鬼気迫る狂人的演技が示している。
なんとも迫力があり、ホラーにも見えてしまった笑 
そして、ドロテアとヘルタ・ティーレが同い年には全く見えない笑

1920年代に流行したドイツ表現主義の…あの内なるもの、すなわち感情や精神的なもの、目に見えないものをausdrücken→外に押し出し表現する…その流れを汲むような映画だった。

ドイツにおいても「ドイツ表現主義」は、“Expressionismus“という単語(英語から来た単語?)で定義されているが、“Ausdruck〜“で表現した方がもっとドイツ表現主義が単語を見ただけで理解しやすくなるように思えるのだけど…。

個人的には、ドイツ表現主義ってなんだか暗〜くて重〜い感じで…あの冬寒いベルリンの重苦しい曇天の空のようであまり好きじゃないんだよなぁ。

双葉十三郎氏も『ぼくの採点表』でこの映画を好意的に評価し、その演技力を認めているが、この時代の映画批評家は、この作品のようなドイツ映画好きだよなぁ。
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