北アイルランドのパンク・ロックバンドを世に送り出した、ベルファストのレコード店/レーベル『Good Vibrations』の創設者テリー・フーリーの実話を描いた作品。
ケネス・ブラナーの『ベルファスト』でも描かれたアイルランドの紛争。
当時の北アイルランドには、宗教的対立や政治的理想の違いによって怒りと暴力が渦巻き、未来への希望が失われつつあった。
そんな時代に、自身もパンク・ロックのエネルギーに撃ち抜かれたテリーが、このエネルギーを世の中に届けたいという一心でレコード店を経営し、レーベル活動をおこなっていく。
勝ち負けだけが重要ではない、正しい道を選んでいきたい。
テリーのそんな生き方が強く胸に刺さる。
アイルランドのかかえる切実な痛みを描きながら、そんなアイルランドに希望をもたらしたテリーの半生を真摯に描いている。
世の中に受け入れてもらおうと踠きつつ、自分なりの生き方を貫く強い意志も持つ。
複雑だが多くの人が共感できる感情が作品の根底に流れている。
ラストのギグのシーンは超かっこいい。
やっぱ『Teenage Kicks』は名曲。