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希望の灯りのvioletのレビュー・感想・評価

希望の灯り(2018年製作の映画)
4.0

ドイツ史の授業で予告編を観てから気になっていた映画。舞台は旧東ドイツのライプツィヒ。オスタルギー(東ドイツへの郷愁)をテーマとした作品。スーパーマーケットというごく限られた空間の中で巻き起こる些細な出来事が、ゆったりとしたテンポで描かれて良かったです。

空っぽになった家を見て回るシーンで、得体の知れない不安に襲われて涙が止まらなくなった。最近代わり映えのしない鬱屈とした日々を送っているからか、自分はなんのために生きてるのか、ぼーっと考えて、答えが出せなくて、静かに消えてしまいたくなることがあるんだけど、なんかそういう種類の感情が思い起こされて辛かった。

何か特定の悩みや問題に対してがむしゃらに向き合ってる時は、少なくとも"生きてる"って思えたりする。もがき苦しむことで大量のエネルギーを消費しているからかな。悩むことも苦しむことも諦めてしまったその瞬間、その人の中ですべては終わりなんだろうな、誰がなんと言おうと。

人でも趣味でも仕事でも、絶対に手離したくない何かを常に持っておくことって人生において最も大事なことのかもしれない。いくら自分のことを蔑ろにできても、大好きな人や大切な物はなかなか手放すことができないと思うから。
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