うえびん

希望の灯りのうえびんのレビュー・感想・評価

希望の灯り(2018年製作の映画)
3.7
スーパーマーケット・ファンタジー

2019年 ドイツ作品

クリスティアン
マリオン
ブルーノ

ほぼ3人の物語

舞台は旧東ドイツ
無機質で巨大なスーパーマーケット

フォークリフト
休憩室
ゴミ捨て場
鮮魚売り場の水槽
冷凍倉庫…

いろんな場所
テーマパークのようにも感じられる

師弟関係
心に抱えた傷
孤独な生活
冷めた夫婦関係
芽生えた恋心

人びとの心模様と関係の変化は
唐突な感じもあるけれど
なぜか背景のスーパーマーケットが
それもありだと思わせる

高くそびえ立つ売り場の棚
隙間越しに見る人の姿

私たちが知り得る知人の背景も
棚の隙間から見える程度なんだろう

棚の合間をぬって走り
棚の再上段まで昇りつめる
フォークリフトに人生が重なる

行ったり来たり
上がったり下がったり
ぶつかったり立ち往生したり

寄せては返す波のように

フォークリフト教習のスプラッター動画
T-falケトルの沸騰…
分かり易すぎる演出にクスッとさせられる

静かで
儚く
切なく
さみしげな作風

なのに
ほのかな“希望の灯り”が見える
不思議な作品
 
うえびん

うえびん