性愛小説家を夫にもつ若妻（白川和子）が、夫の著作に描かれている放蕩女との同化現象に陥ってしまう。夫の小説に感化された若妻の「性のアドベンチャー」を描いている、日活ロマンポルノ。
「虚実不明瞭」を題材に取っている、アシッド感覚満点の作品。猟奇性愛に刺激を求める夫と、その著作に感化される妻という構図は、まるで谷崎潤一郎の文学のようであり、妄想が現実に近づいた瞬間のネガポジ反転が見どころになっている。
若手時代の丹古母鬼馬二が、自身の欲望に忠実な性豪の役回りで大ハッスル。夫とは異なる匂いを嗅ぎつけて、子宮の疼きに一直線になっていく過程が、スキャンダラスに描写されている。
冒頭部、和服姿で登場した白川和子が、物語進行に従ってヒッピー系のファッションへと変化していくところが、個人的な注目ポイント。ロマンポルノの王道を指し示す、ビックリ系エンドもグッド。
