菩薩

覗かれた情事の菩薩のレビュー・感想・評価

覗かれた情事(1972年製作の映画)
4.2
旦那のキャラが吉行淳之介感出てた。妻には自身の創作物を読ませない事にしており、そのある種の抑圧から生まれる妄想世界の虚構が彼の筆を走らせている。しかし妻が彼の虚構の世界に触れ、自らの現実をもってその虚構を超越してしまった瞬間に彼の筆はピタリと止まり、彼と妻との関係にも完全に終止符が打たれる事になる。貞節な妻を失った小説家は他の女に走り、妻の体験そのものを小説のネタとして発表、その私小説じみた内容でヒットを飛ばすが、最後その作品は死の物語へと姿を変える。マジックミラー越しに情事を覗く夫、その対象が自身の妻である事に気づく瞬間の恐怖、性豪・丹古母鬼馬二を奪う際の階段落ちキットファイト、そう言えば墓場でのSEXもこの作品の最後を物語っている。
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