Yuki2Invy

昼下りの情事 裏窓のYuki2Invyのレビュー・感想・評価

昼下りの情事 裏窓(1972年製作の映画)
3.8
お話自体は(ごく終盤までは)結構ノンビリとしてるのですが、その中で白川和子のキャラは素晴らしいハマりようでしたね。立派なマンション暮らしの中~上流階層の人々を羨望し、パトロンに無理を言って遂にマンションに越してきた二号さん。お年を召したパトロンの性欲をどーにか喚起する為に、家に望遠鏡を備え付けて「覗き」の趣味に高じていたら、ふとした事からカネが必要になり(→別の男絡み)、その覗きで知り得た男女の秘め事をタネにえっちらおっちら強請りを働きだす…一言で言えば諸々実に「おバカ」です。しかし、そもそも白川和子の見た目(特に眠そうな目)といい、甘ったるい声といい、実にそーいう間の抜けたキャラにハマってやがったなァ、とまずは感じてしまうのですね。

エロシーンについて言うと、全編通してさほどエキサイトするよーなモノもないスローでアンニュイな感じではあるのですが、今作の白川和子は腋毛を生やしている、その点は一つアクセントになっていたかと思います。ま、このくらいなら生やしといてもイイか…というごく控えめな可愛らしさがエロスの面でのアクセント、また加えて、何らかの効果を狙って積極的に…とゆーよりは、多分処理が面倒だからというこれも間抜けな理由が垣間見える…つーのがキャラ的な面でのアクセント、とダブルのアクセントになっていたのではないか、と思うのです。

そして本作のハイライトは間違い無く前述の強請りのシーンです。どこの世界に泣いて謝りながら人を脅すアホが居るモンですかね?案の定、とゆーかラストには見事にしっぺ返しを喰らうワケですが、やっぱコレなんかも実に浅はかとゆーか、とにかく何も考えてない、とゆーコトですよね。ただ、ここまで来るとソレは一種の「美徳」にも見えてきます。味方にしても全く頼りにならない、とゆーのは、敵にしても全く脅威にならない、とゆーコトですからね。無益ではあるのはプラスでは無いですが、無害であるのはマイナスではない(=ある意味プラス)とでも言いますか。

総じて、そして重ねて、ごくテキトーな様でその実かなり高度につくり込まれた極上のキャラクター(+それを見事に表現する演技の仕事)だったと思います。個人的には非常に好きな作品ですね(おそらくこれまたロマンポルノというフォーマットにしか乗ってこないという意味で、ある種貴重な作品だったのではないか、と)。
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