凶器がハサミなのは、"カット"しやすい性格だから!
春もたけなわ、花粉症との激闘のさなか、スラッシャーホラー界の永久欠番『バーニング』を初鑑賞した次第でございます。
子供たちの心無いイタズラで全身に火傷を負ったキャンプ場の管理人が、復讐を誓う殺人鬼になっちゃったよ、大変だ!…という事だそうです。
湖畔、浮かれる若者、不吉な噂…。
そう、コチラの前年にヒットを飛ばしたあの映画と設定が激似。
志の低さにワクワクさせられます。
そうは言っても、特殊効果は本家と同じくトム・サヴィーニ大先生の手によるもの。
ハサミによる趣向を凝らした殺害シーン、安心納得のハイクオリティ。
視点の混乱でサスペンスを高める手法を採用してましたけど。
・犯人が見てるよ、オッパイ揉んでないで逃げてぇ→ジャーン!実は犯人じゃなくて僕でしたぁ!
のヤツも、繰り返し過ぎで若干コントみたいになってましたね、好感度大ね。
さらに特筆すべきは、サマーキャンプを満喫するヘルシーな少年少女の中、他を圧倒する非モテ力を発揮する童貞野郎、アルフレッドくんの存在感!
言動のゲスさ、走り方のファニーさ、撫で肩の撫で具合。
そんな彼、本作ではヒロインの役回りを担ってますからね、最高ですね。
とまぁ、色々と見所満載なんですけども、殺人鬼クロプシーを必要以上にフィーチャーせず、主体を欠いた存在として描いているということは重要で。
いくらでも代入可能な『 』である…という在り方なのは、その後アイコン化していくジェイソンやフレディとは一線を画すし、潔くて良いなあと思いました。
(単に興行的に振るわなくて、続編が作られなかったから…ってのも事実)
ことさら身もフタもないショック描写の数々が、スラッシャーホラーの行く末をいくらか暗示しているかのようで興味深い。
エグ味強めの割に素っ気なくて、ドラマから激しく浮いちゃってるもんね。
何と言いましょうか、寂寥感? 諸行無常?
アンバランスな魅力に不思議と説得力がある、現代のフォークロアでございました。お気に入り!
…日本公開時の煽り方にも、苦心のあとが窺えますね。
いや、"バンボロ"は悪くないネーミングだと思いますよ、個人的に。