イラク戦争がなぜどのように始まったのか、それがどんな結果を生んだのかを、政権の闇に迫り、アメリカ市民の生の声を集めたドキュメンタリー。
同じテーマだと、『バイス』を見れば、どんな思考で政治家たちがこんな酷いことをやってのけるのかドラマ仕立てで理解できるし、『イラク チグリスに浮かぶ平和』を見れば、アメリカの言う「正義」がイラクにいかにたくさんの悲しみを生んだかがよく分かる。
マイケル・ムーア作品なので基本は軽快なテンポで進み、気軽に流し見できる(後半はしんどい映像も流れるけれど)。
◎この作品で知ったことメモ
・9.11が起こる前からFBIはアルカイダがテロを起こす危険性を指摘していたが、政府はそれを否定し続けていた
・テロ直後、ビンラディンの家族が普通に出国できたり、サウジに探しに行かなかったり、ビンラディン捜索の初動が遅れたりした。政府は各所からの報告は無視して、「イラクが犯人という証拠を探せ」という指示を出していた。
・サウジ(ビンラディンの出身国)とアメリカ政府にはお金の絡んだ深い繋がりがあった
・テロ後、政府は「テロはいつでも起きるから用心せよ」と「どんどん出かけて楽しい時間を過ごそう」という矛盾したメッセージを交互に出すことで人々を混乱させ、不安を煽り、その結果国民の自由を奪う「米国愛国法」を制定した。
・イラク戦争には、貧しい街に生まれてろくな教育を受けられず、仕事がない若者がたくさんスカウトされた
ムーア作品はけっこう極端な切り取り方してるし推測も含まれるので鵜呑みにするわけじゃないけど、やっぱけっこうひどいよな…
◎きっと忘れないシーン
イラク戦争に行った若者たちが「ヘッドホンして好きな音楽を聴きながら人を撃ってる」と言っていて、愕然とした。