観ていて最初からずっと観るのをやめたくなった。
人のズルさを見るのは普段の生活だけでお腹いっぱいだよって。
でも、自分だって十分ズルい人間だから、この映画の中の人たちを否定することもで
きないので、辛抱して最後まで観た。
辛い映画だったけど途中でやめないで良かったな。
この映画の辛さは映画的な奇跡の救いとかがないことだったし
知りたくないけど知らなきゃいけない老いがどんなもんか見せつけられることだった。
この映画の中で彼を助けてくれるのは女性ばかりだったな。
地下の女に、
ホテルの彼女、
駅のインフォメーションの翻訳してくれた彼女、
ドイツ人の彼女、
病院の彼女。
彼の人生で、彼を本当の意味で助けてくれた男性は親友ただ一人だったんじゃない
かって、彼の終焉の旅を見ていておもった。
(飛行機の青年は、彼に借りがあったからあれは優しさじゃないし、冒頭の彼の息子
も悲しいほどに最低だった。)
そう思うと、家族ですら見放してしまうような状況で、
誰が私を助けてくるんだろう。
たった一人でも心に友達がいるって心強いんだな。
心底うらやましい。
その人の為に死んでもいい。自分の命にかえてでも生き延びてほしいって思える他人
が真の意味での助けであって生きる支えであって、友達なんだろうな。
友達とはそんな存在と定義しているから、私は心に友達がいない。
暇をつぶすだけの相手なら他をあたってほしいって思っちゃうから誰の支えにもなれ
ない。
友達って普段呼んだりしてる相手を本当はそうは思えていない。自分はなんてズルい
奴なんだって改めて気づいた。
意味もなく電話を掛けちゃうような、なんとなく何してるかなって考える相手を友達
と思っていいよって誰かに背中を押されたい。
でもやっぱり、もっとちゃんと誰かを大切に思いたい。
誰かを大切にするのもされるのも、難しい。友達って難しい。