映画ペンギン

ヘルボーイの映画ペンギンのレビュー・感想・評価

ヘルボーイ(2019年製作の映画)
4.2
ダークファンタジーと現代の融合

本当はギレルモデルトロ版ヘルボーイが観たかった(主演のロン・パールマンが好きなので)んですけどオンデマンドで観る手段がなかったので、こっちの2019年版ヘルボーイを観ました。

ヘルボーイは赤い肌にへし折られた頭の両角、筋骨隆々の体に、愛すべきパパ(人間)を持つ超常現象調査団体の一員。
巨人とか悪魔とかそういうのが当たり前に存在する現代社会というのは、なんとなくコンスタンティンを彷彿とさせる世界観ですが、普通に野っ原に巨人とかがいる風景や、舞台がイギリスで古代英国風の風景や歩く城などもチラホラ出てくる様子は若干エルデンリングの世界観をも想起させます。

物語の始まりはアーサー王伝説まで遡り、簡単に言えばアーサー王が皆大好きエクスカリバーで体をバラバラにして封印した血の魔女(ミラ・ジョヴォヴィッチ)が復活しますよというところから物語は始まります。(余談ですが、ミラ・ジョヴォヴィッチの、こういうケレン味マシマシの世界観への親和性は異常ですね)
劇中、ナチスやラス・プーチン、マーリンやバーバ・ヤガーなど、曰く、伝承、そういうのが大好物の皆さんには垂涎のエピソードや登場人物、設定が盛りだくさん。(回想内ではありますがナチスハンターという知らない概念が当たり前のように出てきた時は少し笑ってしまいました)
その身一つで巨人三体と戦うヘルボーイの戦いは手に汗握る迫力のカメラワーク、巨人のデカい剣を振り回すヘルボーイの姿は巨大武器で巨大な敵を討伐するジャイキリテイストのロマンを感じさせる、「男の子ってこういうのが好きなんでしょ?」って感じの描写が目白押しです。

異形たちのビジュアルも素晴らしく、ソウルシリーズ(ゲーム)が刺さる人にはキュンキュンくるような絶妙に不気味でどこか神聖を感じさせるデザインもあればマジで気持ち悪い、モンスターというよりはクリーチャーみたいのまで、出てくるもののデザイン、風景は舞台を現代におきながらもダークファンタジーを愛する者の心を掴んで離しません。

注意点としてはところどころまあまあグロいゴア表現があり、ネタバレを避けて表現すれば終盤この世と地獄が繋がっちゃうシーンがあって、そこから出てくる魔物たちはまさしく巨大で、不気味で、それでいてどこか神聖を感じさせるクリーチャー達なのですが人の殺し方がまぁ酷い。
バスタード!という漫画を見たことがある方は、同じように地獄の魔物が人間達を襲うシーンがあったのが記憶にあろうかと思います、まさしくあんな感じですね。そんな殺し方しなくてもいいじゃんって殺し方をわざわざやって画面に地獄味をこれでもかとトッピングしていきます。
もう少しポップに表現すればbloodCの白いうさぎみたいのに人が殺されていくシーン。あんな感じ。
ゴア表現はまあまああるので、苦手な方は見る前に覚悟が必要です。

設定モリモリで途中訳わかんなくなりそうにもなりますが、とにかくすげぇ画面をお見せしよう、そんな気概を感じるヘルボーイ2019年版、観て損はないと思います。
外見の凶悪さに反して割と簡単に罠にハマったり人間達にジョークを口にしたり、魔物でありながら人間の味方をすることへの葛藤で揺れるヘルボーイの人間味も必見です。
是非、ご覧ください。
宜しくお願い致します。

⬛︎2004年版ヘルボーイを観たのでその追記
2004年版のニヒルで自信家で、人とは馴れ合わないヘルボーイに比べると、仲間思いで、人間の醜さ、疎外感から少し内向的な部分も見え隠れするあたり、2019年版のヘルボーイはなんだか愛嬌があるな、と感じます。
あと設定がモリモリ。是非実際にご覧頂きたいのですが、お前は特異点か何かなのかというくらいヘルボーイ自身に対する設定がモリモリです。
世界観の壮大さは、2019年版のが頭一つ抜けています。
様々な伝承に由来する伝説上の化物や神聖存在をリアリティ豊かに描写しており、前述の通りソウルシリーズ(ゲーム)が刺さる人にはそれなりに刺さるんじゃないかと思います。世界観を表現するためのディテールの細かさはなかなかのものです。
あと、いいのか悪いのか、ゴア表現も2019年のが頭一つ抜けちゃってます。
そこだけ要注意。

以上、宜しくお願い致します。
映画ペンギン

映画ペンギン