シネマスナイパーF

ヘルボーイのシネマスナイパーFのレビュー・感想・評価

ヘルボーイ(2019年製作の映画)
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薄い、軽い、安い
パソコンの売り文句みたいだけどこんな感じの映画です
ナチス特製のレトロな3Dメガネ風ゴーグルに抱腹絶倒
いや、ビジュアルは悪くないんだわ
終盤に何人か出てくるデカいヤツらとかクールなんだけどさ

先にデルトロ版を観ておくことをお勧めします
続き物ではなく全くのリブートですが、クオリティの差に呆れること間違いなしです
片方をディスるために片方をやたら褒めるなんて幼稚なことしたくないですが、これは溢れ出てしまう
デルトロが本物の巨匠だってことを改めて思い知った



先にディスれるだけディスります
まず驚くほど安っぽすぎる
CGの「安さ」が製作陣の事情を超えて画面に滲み出ている
いや、ゴアに全振りしてる感じは嫌いじゃないというか寧ろ楽しいぐらいなんだけど、演出が下手なのか?
ただ悪趣味なだけというか
デルトロ版には、今まさにそこに彼らがいるというワクワク感があった
バーバ・ヤーガぐらいしかその楽しさはないし、ぶっちゃけこれも変にやりすぎでキモく、やはり今回はただグロテスクでエグい悪趣味に走りましたハイという微妙なやる気のなさに感じてしまう
そういう方向性だって言うこともできなくはないかもしれないが、残念ながら安っぽいのは画だけじゃなかったのがダメ押し
大人向けでダークな方向に舵取りした割にはイギリスの秘密結社の武器が原作よりダサくなっており、ナチスのゴーグルは赤と青の3Dメガネという、もし原作からそのノリを持ってきたかったってことなのだとしたら工夫が必要な部分がそのままか
ただゴアを頑張っただけでした
メイクやセットは素晴らしいのに安っぽく見えてしまうのは非常に残念です

ストーリーに関してはもうどうでもいいです
ムビチケの特典の原作コミックが映画の内容に沿ってたので日本のマーケティングは素晴らしいと思いますが、肝心の映画ではダイミョウの銃のくだりのグダグダ感とか酷すぎて笑えました
ヘルボーイのキャラクター造形が致命的にダメでした
親父との関係性萌え、失敗
ヒロインとの腐れ縁、失敗
実はネガな隠れ陰キャ感、大失敗
精神年齢を上げたってことなんでしょうけど、バックボーンから生い立ちの掘り下げまでとことん魅力的に描けてないので無駄
地獄からやってきた悪魔の子があんな部屋に住んでいるという愛らしさや、人間社会での疎外感など、いいところを減らして、減らした分新しく足したものは、スマホの画面を割るというどうでもいい描写
結果、ストーリー以上にヘルボーイというキャラクターがどうでもいい奴になってしまった
ただ酒飲むだけで、絵に描いたような口が悪いキャラクター
エイブとバカやってそうな雰囲気がない…
続きやる気満々のようですが、そそられないでしょこれじゃあ


いいところ
巨人戦は多分今作で一番面白いところ
ミラジョボビッチがエロい
アリスは可愛い
気持ちいいぐらいアレなアジア人キャラクターであるダイミョウ
あと本当にこれはフォローでもなんでもなく、先述したように終盤のビジュアルは素直にカッコよくてこっちも燃えました
ゴアにそんなに頑張らなくてもいいからあのノリのCGでガンガン押してくれればまだ別物として大いに楽しめた可能性は充分にある、という意味では続編に期待してもいいのかもしれない


来週のイアンマクシェーン出演作には心底ワクワクしています
おわり