辞典づくりに囚われた2人の男の物語。
19世紀。オックスフォード大学で、すべての英語の起源とその変遷を記した世界最高峰の英語辞典を編纂するプロジェクトが立ち上がる。
その編集主幹となったのは、独学で言語学博士になったジェームズ・マレー。
そして彼の呼び掛けに応じボランティアとして大きな手助けをしたのが、殺人犯ウィリアム・チェスター・マイナーだった。
本作は、この驚くべきOED誕生秘話を記しベストセラーとなったノンフィクション本を原作としている。
冒頭からトリニティ・カレッジ図書館が出てきてテンションぶち上がり。
名優たちの重厚な演技は言うまでもなく素晴らしいし、会話の端々に感じる言葉を愛する者たちの熱量がとても良かった。
ただ、これは真実なのだろうかと疑問に思った点がいくつかあり、鑑賞後に調べてみるとやはり脚色されている部分がいくつかあった。
個人的に事実を基にした作品には、なるべく脚色をしないでほしいという思いがある。
それは脚色された部分によって真実がぼやけてしまうからだ。
それだけでなく、時には真実を傷つけてしまうこともある。
もちろん脚色が必要なときもあるだろう。
ただそういった場合にも、根幹となる真実に敬意や誠実さを感じる脚色であってほしと思っている。
本作の脚色からは、その敬意や誠実さを感じることが出来なかった。
真実だけを描いても充分ドラマティックで惹き付けられる作品になったはずだ。
俳優陣も素晴らしく、よく出来た作品であるだけに、それがとても残念だった。