jam

また、あなたとブッククラブでのjamのレビュー・感想・評価

4.0
「おひとりさま」という言葉が広く認識されるようになったのはいつ頃からだろう
パートナーがいなくても何でも一人でできるし
友達、もそれなりにいるし

"淋しくない"

けれども
ふと。
何かのきっかけで気がつく
人の肌の温もりに

人間の身体は暖かい
そんな当たり前のことをすっかり忘れていた私の頬を撫で
抱きついてそのじんわりとした温度を思い出させてくれたのは
…残念ながらパートナーではなく、小さな子どもだったけれど


恋多き女、ホテルオーナーのヴィヴィアン
"好きな人とは寝ないの"
あらゆる"おひとりさま"を満喫
そんな彼女が
何十年も前のファーストキスの光景を事細かに話す

忘れられないのは
相手の彼が両手で顔を包んでくれた感触
…それだけで十分だった、と。

たくさんの男たちとSEXできても眠れない

そう言う彼女が
最後に選んだのはプレイボーイのアーサー

そのままの君が好き
君と話をしていたい
君の話を聴いていたい

何十年も前に若さに任せてSEXした二人だったけれど
ようやくヴィヴィアンが眠れたのは
アーサーがその両手で頬を包んでくれたから
SEX抜きでもアーサーの温もりを感じて
心身ともに安らぎを得たから


ブッククラブのメンバーは皆訳あり
現在の境遇にくすぶる気持ちを奮い立たせたのは
「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」
という官能小説だった…

ドタバタコメディな展開もありつつ、
それぞれの葛藤や希望にワクワクさせられる

Bryan Ferryの"MORE THAN THIS"を
聴きながら


年を重ねて
"おひとりさま"に淋しさをおぼえた時

頬を包むあたたかな手がありますように

幸せを諦めないで
jam

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