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ライトハウスのyawaraのレビュー・感想・評価

ライトハウス(2019年製作の映画)
4.5
孤島の灯台を舞台に、二人の男が次第に対立していく様子を描く。

驚くのはその不気味なルックである。狭く薄暗い画面は情報量が限られていて、鑑賞者に閉塞感と恐怖感を与える。限られた情報を補うのが独特な音響効果。唸るようなフォグボーンに代表されるこの音響の調整が非常に巧妙で、さらに不安感を掻き立てる。これらの相乗効果は陰湿で慄然としたプロットを盛り上げていく。

もし自分が同じような状況に身を置いたとしたら、と考えるとゾッとする。そのようなリアリティがこの作品にはある。ヘドロ混じりの貯水池、糞尿の処理、威圧的なカモメ、ボロボロの家屋。いつ陸に戻れるかわからず、さらには嫌な上司との二人きりとなれば、酒でも飲まなければやってられない。

物語の大筋は灯台の主導権をめぐる闘争で、最後に主導権を勝ち得たイーフレイムは明かりの部屋で何かを見て発狂したかのような様子である。そして次に映されるのがカモメに啄まれる死体。あたりには灯台などなく、あたかもラストに至るまでの物語そのものが妄想だったことを示しているかのようだ。事のあらましとしては、罪を犯した男が死ぬ間際に見た悪夢といったところだろうか。

様々なリファレンスをロバート・エガースの作家性でミックスした本格的ホラー。
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