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ザ・プレイス 運命の交差点のmのレビュー・感想・評価

3.5
観終わってもなお余韻が残る作品。
今作に明確な答えは残されないが、それを私たちはどう噛み砕くか問われている気がする。

はじめにね、可愛い子がいるなぁ……、この子どこかで見たことあるなと思っていたら『おとなの事情』に出ていたアルバ・ロルヴァケルさんだった。
凄く可愛くて好きになってしまった。
失礼だけど、あまり有名ではない方を見つけられて嬉しかった。
と、思っていたら今作『おとなの事情』の監督パオロ・ジェノヴェーゼさんの作品だったのね。

ストーリーはとても簡単。
カフェ「ザ・プレイス」の奥のテーブルには昼も夜も居続ける謎の男(マルコ・ジャリーニさん)
彼のもとに相談に来る人間は人生に迷いがある人。
そんな人たちに不条理なミッションを与え、クリア出来たら悩みが解決する。

ストーリーは簡単なのに、常軌を逸脱したミッションに悩める人間たちは頭を抱える。
私もこの作品が提示する問題がなんなのか分からずに沢山悩んだ。

理解出来ないことが沢山ある。
なぜ、この男はそんな不条理なミッションを与えてくるのか。
なぜ、ミッションをクリアすると欲しいものが手に入るのか。
あの分厚い手帳はなんなのか。
謎の男は「ザ・プレイス」になぜ居座り続けるのか。
あまりきちんとした正解を用意されていない歯痒さ、監督の不親切さを感じる。

が、監督の描きたかった主題はしっかりと理解出来る。
謎の男の役割。
幸せと不幸せは表裏一体。
人生の分岐点を選ぶのは自らの選択。
なにか哲学的な、強いて言うならば世の中の摂理を主軸に描かれている。
シリアスな中に御伽噺のような不思議さもエッセンスとして入っていて、良い意味での不愉快さを覚えた。

この不愉快さが後を引く。
もう少し作り込みしてもらいたい気もするが、(いや、かなり)それでもなにか私の心をかき混ぜる、乱すなにかがあった。

ラスト。
謎の男が幸せになり、不幸を引き継ぐ人が表れる。
あの絵は情緒があり今も忘れられない。

ストーリー : ★★★☆☆
映像 : ★★★☆☆
設定 : ★★★★☆
キャスト: ★★☆☆☆
メッセージ性 : ★★☆☆☆
感情移入・共感 : ★☆☆☆☆

cc/欲望の代償は、他人の不幸。
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