アリスinムビチケ図鑑

ザ・プレイス 運命の交差点のアリスinムビチケ図鑑のレビュー・感想・評価

3.0
そこに行けば、その男に会える。
そこに行けば、望みが叶う。
そこに行けば、運命が叶う。

とあるカフェの奥のテーブルで、
向かいの席に座る者の話を聞きながら、
分厚い黒革のノートに何やらしきりに書き込みをする男がいました。

入れ替わり立ち代わり、向かいの席に座っては無理難題な相談をしたり怪しげな契約を結んでは立ち去る人々。

カフェの一角、そのテーブルの上のみでストーリーは進んで行きます。


ある意味、PCの中でストーリーが進行する『サーチ』の様でもあり、
緊急司令室のコールセンターで、通話のみで進行する『ギルティ』の様でもあるワンシュチュエーションものでも有ります。

ただ異なるのは、サーチもギルティも一つの事件に沿ってストーリーが展開する訳で、
こちらはオムニバス形式の様に夫々の登場人物に軽い設定とストーリーが用意されていて、
それが何の悪戯か、彼等の想定外の行動によって運命が交差し、絡み合い、思いもしない結果を呼び起こすのです。


相談に来る者は叶えて欲しい願いを語り、
受ける男は決して自分のことは語りません。

彼等は男に「悪魔」なのかと尋ねます。

男はビッシリ文字の詰まったノートを見るだけで何も答えません。
彼は常にノーバディで誰にとってもアンノウンな存在なのですから。

彼等は願いを叶える為に代償を強いられます。
実行するかどうかは自分次第…。
契約によって常に行動の選択をする事になるのです。
(但し、どんな行動を選択したのかで結果は良くも悪くも変化してしまうのですが…。)


これは、ただ人任せに願うだけの人々への警告の様にも感じられます。

願うだけでは何も変わらない。
何かをしようと考えたり、アクションを起こす事で状況が変わると言う気付きを与える為の試練だったのかも知れません。

前に進む為には、
時に代償が必要になったり、
時に踏み止まる勇気が必要になったりもします。

"人生は与えられるものではなく、
結果はどうあれ、自分の選択で掴み取るものなのだ"
と言う教訓の様にも感じられました。


おばあちゃんの試練の爆弾のオチはかなり皮肉めいていて好きなシーンでした😁


個人的には、ストーリーの設定は面白いと思うんだけど、全体的に厚みが無いのが残念と言うか、
登場人物を減らしても良いから、一人一人のストーリーを膨らませて欲しかったかな、と思いました。

でもこう言う、ちょいダークで皮肉めいたストーリーも嫌いじゃないです😁笑