健多郎

教誨師の健多郎のレビュー・感想・評価

教誨師(2018年製作の映画)
4.0
死にゆく人と向き合うはなし

死刑囚と対話し、彼らの心の安らぎを支える教誨師を大杉漣が熱演
漣さんの遺作だからか、普段徳島ではこういう作品はなかなか劇場上映してくれないのですが本作は珍しくシネコンで上映、しかもロングラン
お陰で素晴らしい映画を劇場鑑賞できました

死刑囚たちと向き合う事で自身の過去や罪も再認識し、それらを忘れる事なく明日へ進んでいく
明日のない死刑囚もいるかもしれないけど、それでも過去と向き合う事はできる
もちろん死刑囚だって人間な訳で様々な人がいるんですが、だからこそほぼ室内での会話劇なのにとても面白い
こういうテーマの作品で『面白い』というのは不適切かも知れませんが、それでも面白かったと声を大にして言いたい
とても、重い題材を取り扱った作品とは思えない見やすさでした

割と遅い時間に観て、観客の年齢層も高めだったのに劇場が明るくなるまで誰一人席を立たなかったのも印象的でした
特別客入りが少なかった訳でもないのに、こんなの滅多にないから驚き

こんなストレートに自身や他人の生死をぶつけてくる作品が遺作、しかも主演なのも運命ですよね
まだ亡くなられた実感は余りありませんが、ありがとうございました、漣さん
あなたは郷土の誇りです
健多郎

健多郎