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毛虫のボロのhoshのレビュー・感想・評価

毛虫のボロ(2018年製作の映画)
4.1
三鷹の森ジブリ美術館で鑑賞。宮崎駿、現時点での最新作。

セリフは擬音のみ、音楽は1箇所。映像の強さだけで走りきる凄まじい15分間。葉っぱや太陽光がゼリーのように溶けていく表現にはその着眼点とCGの使い方の斬新さに圧倒されてしまった。映像表現を極めたように思えるベテラン作家からまだ見たことないものが飛び出す衝撃たるや。

本作は毛虫を通した目で世界が描かれる。人間の我々にとって取るに足らない植物や虫たちも彼らの視点から見たら驚異であり、喜びであることに気付かされる。人間優位でなく生活を厳しく豊かに見つめる宮崎駿の視点に感服させられると共に、「ボーッと生きてんじゃねえ」と尻を叩かれたような気がした。
御歳82歳。けれど作品は常に若々しく、生に漲っている。今年の夏の新作も楽しみだ。彼の新作を生きて見れることの幸福を噛み締めたい。
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