すず

エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へのすずのレビュー・感想・評価

4.5

エル•ファニングを眺める映画だとずっと思っていたから、一向に出てこないのでおかしいなと思ったら、キャストにいなかった笑。この写真、エル•ファニングじゃないんですか笑? でも、勘違いから素敵な映画に出会ったので良かった。

いわゆるスクールカーストの下層にいるケイラが、自らの高い意識と、勇気を奮い立たせて、理想と現実を隔てる壁に挑んでいく。意気揚々と立ち向かい、何かを掴みかけたり、つまずいてすっ転んだり、思い通りにいかなくて立ち止まって俯いたり。

等身大で健気なケイラの姿に、胸が痛くなったりもするけど、それ以上に微笑ましくて、いつの間にかめちゃくちゃ感情移入していた。

何もかもが未知で、新鮮で、側から見れば滑稽なことをドキドキしながら真剣に試みたり、思春期ならではの甘酸っぱい感覚は普遍的で。他方で、学校という閉鎖された空間が人生の全てであった時期のあらゆる苦悩であったり、そういう感覚って、いずれは失われていくものだけど、その当時は絶望的に切実で。

でも、もっと自信を持とうとか、勇気を出して一歩を踏み出そうとすることって、なにも思春期だけのものではない。だから、ティーンエイジャーだけに響くストーリーではなくて、成長しようと願う人間の心に寄り添ってくれるような、或いは、ふと顧みたときにタイムカプセルを開くような、すごく優しい作品だった。

ケイラのパパは娘に疎まれながらも、深い愛情を持って見守る姿、当たりのキツい娘に接する姿勢もキュートだったし、火を囲って親子で胸の内を交わす繊細なシーンの言葉がもう優しさに溢れていて。ほんとに素晴らしい最高の親父さんには震えて泣いた〜。

過去に描いた夢や理想が、現在どうなっている?最高にクールな自分でいられている?

がんばれ、わたし。でも頑張ってダメでも、それでもいいから。ちゃんと前に進んでいるから、大丈夫。ありのままの自分らしく、楽しくね。

こんなにも愛らしさとポジティブな涙がでるとは。もうド直球で心に突き刺さる。めちゃくちゃ響くいい映画だった。

「クールでいてね。あなたになることが楽しみ。愛を ケイラ グッチ👌!」
すず

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