Hotさんぴん茶

エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へのHotさんぴん茶のネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

この作品は結構前に見たが、感想をまとめていなかった。いま思い出しつつ書いてるが、色々な場面がそれを見たときの気持ちと共に思い出される。それだけ自分にとって印象深い作品だったということだろうな。

誰もが通る思春期を、まざまざと思い起こさせてくれる映画。
主人公エイラはよくいそうな、普通っぽい女の子。この作品では彼女の経験を通し、思春期の頃を追体験できる。もちろん誰もが彼女と全く同じ経験をしたわけじゃない。でも、重なる部分が少なからずあるはず。この頃の心の揺れ動きが、絶妙に表現されていた。それは登場人物の表情だったり映し方だったり(効果的なスローモーションとか)。何か洗練されてるような荒削りのような、なんとも言えない感じの表現で自然と心に入ってきた。結果心が抉られたり、気恥ずかしかったり。主にそういうことが多いが、時に心温まったり。全体的にそんなに派手なことが起こるわけではない。しかし、心揺さぶられる演出・ストーリーで見ていて飽きなかった。

人との出会いも描かれるが印象的だったのは男性の描かれ方。ひどい男性と優しい男性の差が際立っていた。
ひどい男性(少年?)のシーン(夜の車内のシーン)は恐怖すぎた。これ犯罪未遂だよ、怖いなー。ケイラ可哀想。かなり心が傷ついただろう。しかし、ギリギリ最悪の事態は免れて良かった。これにはお父さんが心配になっても当然!年齢問わず、悪い男は心底悪い。

一方ゲイブには好感が持てた。ケイラとのぎこちないデート?での会話は笑えたり微笑ましく、可愛かった。映画館でも笑い声が起きていた気がする。こういう、性格が良くて我が道を行く人たちは見ていてホッとする。

それからエイデンは結局どんな人だったんだろ?最後までつかみどころがなかったな笑。結構な美少年で、ケイラの憧れだった男の子。そのせいで、途中少女漫画みたいな雰囲気の映され方で笑った。悪い子ではなさそうだけど、なんとなくアホっぽい笑。またR18情報への食いつき方がハンパなく、笑うしかない。変な話振ったケイラもケイラだけど、それに対しデリカシーもあんまないし。😅

お父さん、しみじみ良い家族だ。子が成長しても、突っぱねた時期があったとしても。どんな時でも受け入れ話を聞いてくれる存在は心強い。ケイラにこのお父さんがいて良かったと、心から思えた。また良いと思ったのは父こそ娘から教えられた、元気付けられたということを率直に言葉で伝えていたこと。ジーンときた。言葉にするって大事なことだよな。この焚き火の周りで話す親子のシーンは、この映画で一番好きな場面。温かくも自然な家族の風景。ホッと安心できる場面だった。

この映画の後味は、ほろ苦くも爽やか。人生劇的に変わるわけでもないけれど、なにか希望を持てる雰囲気で幕を閉じた。飾らない人生賛歌というか。見て良かった。