Shin

エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へのShinのレビュー・感想・評価

4.6
公開当初は平均スコアの低さもあり、「オバマ前大統領が年間ベストに選出」という謳い文句にも目もくれずに完全にスルーしていたのだが。

かなり高く評価されているレビューを見るにつけ、レンタルされたら、必ず鑑賞しなければと思っていた作品。

すると、なんと渋谷のシネクイント2周年特集として上映してるではないか。これは見逃してはいけないと喜び勇んで映画館へ。

冒頭はタイトルにもなっている8年生(中学生)の主人公ケイラの日課で、人生訓のようなものを語る自撮り動画から始まる。これがまた画像が粗く、説得力に欠け、悲しいかな閲覧者はほぼいない。締めの挨拶のスラング"GUCCI"(カッコいい、クール)が虚しく響く。クセになるけどね😅

ケイラはSNS上でも、学校でも友達がおらず、あげくの果て、卒業間近の表彰式で「学年で最も無口な子」に選ばれてしまう。どんな賞やねん😤

外見にコンプレックスを抱え、自信の持てない女の子の日常を描くのだが、ただ深刻に話が進む訳ではない。ケイラがシンバルを鳴らし、グダグダな国歌をみんなで演奏したり。優しい父親のお節介に嫌気がさし、モールにある証明写真機の中に籠ったりと、時には笑わせてくれる🤭

しかし、勇気を出してクラスメイトの誕生日パーティーに参加し、プールに入る為水着になった時の、ケイラの丸い背中から伝わってくる絶望感といったら、もう目に焼き付いて離れない😆

また音響もこの上なく心情を煽ってくる。ケイラが恋する男子エイデンが登場した時は、アメコミのヴィランでも出てきたのかと思ったし。 それにプールでのイケてる連中のギラギラ感はなんや、俺でも入りづらいわ🤪

良くも悪くもSNSに依存した現代社会の縮図のような子供たちの学校生活を繊細に写し出し、その狭い世界でひたすらにもがいていく思春期真っ只中の少女の姿を、痛々しく描きつつも、優しく見つめ続ける作品だ。

まるで本当に実在するかのようなケイラの健やかな成長を願ってやまない。





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