ゆき

向こうの家のゆきのレビュー・感想・評価

向こうの家(2018年製作の映画)
3.8
大人の事情

喧嘩をしない幸せな家族。そう実感した矢先に、父の秘密を知った高2の夏。

不思議な達成感で満たしてくれる一作でした。
コロコロと変わるハギの表情と、深掘りされすぎず夢物語のような浮遊感漂う瞳子さんの存在。独特な圧がある、母の「聞かせて」という浮き立ったフレーズの繰り返し。いろんな汲み取り方ができる面白い人物設定でした。
生まれた時から「父」である人が恋愛している様子を目の当たりにする。
生まれた時から「母」である人が女として嫉妬し、プライドも捨てて討ちにいく。
父の浮気相手をセカンドハウスから追い出す、という設定はフィクションで溢れているけれど、掴み所のない高2の少年が両親を一個体として見つめ直しながら変化する様を見届けたあとはなんだか健やかにニコニコしてしまった。
学生時代の集大成で、鮮度と愛情を詰め込んだ時間を人に提供できるなんて羨ましい限りです。
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