ごろちん

小さな声で囁いてのごろちんのレビュー・感想・評価

小さな声で囁いて(2018年製作の映画)
3.9
退屈なところが素晴らしい、そんな作品だった。

登場人物と同じ空間を共有しながら倦怠期カップルの5年後、10年後の未来へと想いを馳せていくリアリズムの作品。だからこの作品にエンタメを求めてしまったらきっと期待外れになると思う。

「流れている時間を撮ろうとした」と山本監督がアフタートークで話していた。監督は長回しの映像から登場人物たちが感じている3泊4日の熱海旅行を観客にも体感させようとしたに違いない。二人の未来にとって何が足らなくて何が必要なのか、その何かを二人の間に流れる空気から感じ取らせるために。

熱海は地元の方々の熱心なプロモーションの甲斐あって人気観光地に復活した。家から割と近い(寧ろ会社より近い)のでたまーに行くけど、行くたびに新しい発見がある。

鄙びた街の中に新しい店が生まれる、そのちょっとした発見は倦怠期を迎えたカップルが相手の新しいところを見つけた時の新鮮さに似ている気がする。そう思うと熱海の街と倦怠期カップルの組み合わせは絶妙だった。

んー、でも個人的には倦怠期に熱海3泊4日の旅行はちょーっときついかな…
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