KnightsofOdessa

当たり狂言/当り狂言のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

当たり狂言/当り狂言(1925年製作の映画)
3.5
[ドジっ子スワンソン、ボクシングをする] 70点

ドワンはデミルのように長い映画監督人生を送った監督であるが、これといった受賞歴がないのが災いしたのか忘れ去られている監督の代表格でもある。斯く言う私も彼の作品は「逮捕命令」くらいしか見たことがないので、彼のサイレント時代の代表作の一つである本作品を見てみることにした。主演はグロリア・スワンソンであり、彼女のサイレント映画を見るのは意外にも初めてだった。

田舎町で給仕をするジェニーは店の料理人オームに恋しており、女優好きな彼に振り向いて貰おうと女優になろうとしていた(この時点で中々ぶっ飛んでいる)。ある日、オームはやって来た船舶型劇場の看板女優リリアンと知り合い、ジェニーはそれに嫉妬する。その嫉妬心を利用されて船舶型劇場の舞台を踏むことになったジェニーはリリアンとボクシング対決をすることになるが、台本を無視してリリアンを殴り倒してしまったことで大炎上し、ジェニーは船から飛び降りてしまう。

本作品の見どころは冒頭のサロメのオーバーラップと終盤のボクシングシーンくらいであり、残りは普通のメロドラマ。スワンソンがドジっ子の主人公を熱演しているが、ドジな割にリリアン(本職)を見て靴や帽子を切って模様を入れるなど行動が狂気に満ちているのは面白い。確かに「サンセット大通り」のイメージが強すぎて違和感の塊だったのは事実だが、サイレント期に彼女が人気だったのも非常に良く分かる。

冒頭のサロメのシーンはテクニカラーと聴いたんだが、私にはモノクロにしか見えなかった。目が悪いのだろうか。
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